いま、イノベーションがグローバルに進んでいます。レイ・カールワルツは、「人工知能を有したコンピュータが、全人類の知能を超えて、自ら発明・技術革新を行う時代が2045年に到来する」と予測しています。キャシー・デビッドソンは、2011年8月のニューヨーク・タイムズで、「2011年に入学した小学生の65%は、大学を卒業するとき、現在は存在していない新しい職につくだろう」と論じています。
一方で、真の地方創生が叫ばれている今日、ローカル・コミュニティの再生が強く求められています。冨山和彦は、「製造業やIT産業が中心となっているグローバル経済圏では、トップクラスに入れない企業は生き残れず、少数の知識集約型人材を雇用するにすぎないが、これとは関係が小さく経済原理が異なるGDPや雇用の7割を占めるローカル経済圏では、汎用的な技能を持つ幅広い人材が求められる」と述べています。つまり、ローカル経済圏では、生産性の低い企業を緩やかに退出させるとともに、企業の労働生産性を持続的に高めて安定雇用を実現し、企業と地域との共存共栄を図るビジネスモデルが必要なことを示しています。
われわれは、激変するグローバル・イノベーションを真正面から受け止めつつも、協働によるローカルな社会づくりを希求しています。また、こうした社会を滋賀県で実現するために、びわ湖を円卓になぞらえて、対岸地域をも身近な場と捉え、インターネットなども使って対話・連携し、卓抜した知恵を出し合って地域を創造する活動を行う『びわ卓』を創設しました。
NPO法人びわ卓のメンバーは、産官学民と多彩で、多分野のプロフェッショナル『びわ卓プロ』たちで構成されています。私の場合、地図を取り扱ってきましたが、ネット地図を見ることで、地域を再発見できるのが楽しくなり、新しい活動を始められる方をご支援してきました。
『びわ卓プロ』をよろしくお願いいたします。
理事長 笹谷康之